あまりにも面白い話なので転載します。

いわゆる「霊感の強い」人がいる。その手の人には、その手の現象がよく起こるらしい。

若い知人は、家族揃って霊感が強い。その家に髪の毛の伸びるフランス人形(古典的ネタ)があった。気味が悪くて、その手のお寺に奉納した。ところが、ある日、押入を開けると、その人形が舞い戻っていて、たまげたという。そりゃあ、たまげるわ。そのあと、一家がどんな対応策をとったかは聞いていない。

その彼の別の話。ある日、彼が朝寝をしていると、ドアでピンポンが鳴った。とっくに壊れ、ずっと鳴ることのなかったピンポンが、その朝、鳴ったのだ。それで、彼はドアから外に出て、空を見上げて言ったという。

「お願いだから、もうやめてください。怖いです」

空に向かって懇願するという彼のスタンスは、ただしい。「霊感」のまったくない私も、そのときの彼の姿を想像して、微笑んでしまうのだ。
楓の花

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