死人焼く火加減上げて山桜  茨木和生

伊吹嶺4月号の風光集は久しぶりの6句。

 人日や見知らぬ人に名を呼ばれ
 「老衰」と死亡診断冬ともし
 冴ゆる夜の亡母の小さき足洗ふ
 火葬炉の鉄扉閉ぢたる寒さかな
 人ひとり焼く間の冬日濃かりけり
 手袋を脱いで真白き骨を選る

「人ひとり」の句は、タイトルの句の影響を受けている。

『ザ・バットマン』

ムービープラスマット・リーヴス監督の「ザ・バットマン」を見始めたのですが。余りにも内容も映像も暗すぎるので途中で断念。
クリストファー・ノーランバットマン三部作が良かっただけに残念。
クリストファー・ノーランですが、昔に比べ映画監督に無頓着になったので、『テネット』を見てやっと『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』もみんな彼の作品と気づいたのです。
というのも、『テネット』が余りにも複雑なのでネットで調べまくった結果分かった次第です。

まだ出来る爪立ち歩き草青む  岡本眸

今日は鶴舞公園に行って来ました。

ご婦人から「まだ早いですね」と声を掛けられ、円墳の下萌を熱心に見ていた私は、「はて、何が早いのかな?」と思ったのですが、桜のことでした。

見ると、花の芽の先がわずかにピンクになっていました。

 

3月京都句会 義仲寺吟行

今日は雨の寒い中、近江膳所の義仲寺での吟行でした。

まだ芽柳の門前

  雨ふふみ天へ挙れり牡丹の芽  哲半
  御文庫に鍵穴二つ木瓜の花   範子
  春泥にすべつて掴む巴塚    伽葉
  あな細き翁の杖や春時雨    徒歩
  扁額も桜も古りて春寒し    悦枝
  料峭や文庫の黒き鉄扉閉づ   万里子
  木の芽雨茅葺堂の軒雫     佳子
  夢一字俳人墓に春の雨     秋麦
  義仲寺の釣瓶を濡らす春の雨  英子
  雨ひと日義仲寺の梅咲き満てり 英武

伊吹嶺3月号

 

風光集より私の5句

 幼子の深き眠りの聖夜かな
 年の瀬や町に書店のひとつ消え
 数へ日や若き御霊に「お〜いお茶
 忘年やダウンライトの二人席
 福引の当たりの鐘に恥じらへり


昨年から始まった栗田前主宰選の「寒月賞」。速報上位5編以外の高点12編の中に私の作品が入っていました。
ひとつのテーマで纏まった作品ではないし、弱い句も混じっていますが、ある程度は期待しますのでほっとしました。

第一回「寒月賞」応募作品20句 徒歩
 青空へ汽笛高鳴る不死男の忌
 八月や昭和の厚き時刻表
 再婚の母の写真や終戦
 逆さまに切手貼りたり残暑なほ
 新涼や窓より子供たちの声
 食べ過ぎて嘔吐する母敬老日
 診察を待つ間のいびき秋の昼
 名月や坂の上なる純喫茶
 柔かくタオルを絞る居待かな
 秋果盛る白磁の皿をよく冷やし
 秋光や洗ひ終へたる匙二本
 三日間休む貼り紙小鳥来る
 重陽や職楽しんで五十年
 胸張つて大き息する秋気かな
 挨拶のメモ大き字や菊日和
 からくりの見得張る正午空高し
 耳朶をつまめば温し十三夜
 水槽の魚外見る夜長かな
 占卜は大器晩成いてう散る
 やはらかき握手の別れ白秋忌

楡家の人びと2

『楡家の人びと」はまだ登場人物や病院の建物の紹介の段階ですが、皮肉たっぷりにからかっているような感じです。う~んやはり『どくとる マンボウ 航海記』の作者なんだなあと懐かしく思いました。

本が少し重いので寝転んで読むのが難儀です。