2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

伊吹嶺6月号「遠峰集」から私の五句です。 白酒に耳朶赤らめり婚約者 白足袋に草履芳し丈草忌 シクラメン古本バーの片隅に 白れんの揺れに遅れて風の音 谷崎の「寂」てふ揮毫紅しだれ

父の長兄の演習の句は以前にも一部紹介したことがあるが、今回は全文。七月二十三日在郷軍人千種連合分舎耐熱行軍演習 集合 はひ出でし南瓜のつるや明初める 樹々の風教官来るや夏の朝 当番の雑嚢配る明易し 出発 街道やあらぬ所の青き柿 実弾射撃 白々と雲…

進と署名があるので父の次兄の句。 11年正月 元旦や何の気もなし神おがみ *余りに平凡 時間待つ間や姦しき炭火かな *何の時間を待つのか分からぬ 二度三度スキーヤーに押し出され *何処から押し出されたのか分からぬ と散々の批評だが、それよりも昭和…

父の句稿の続き。 梅雨寒や髭面うつる大鏡*面白い見付ところです。理髪業なればこそ此の様な句が得られたのでせう 土岐川車窓より 足浸し釣り竿鳴らす夏の川 陣中報告ラヂオ放送を聞きて いくさばに心はせらす夜長哉 母の縫ふ針に糸さす夜長の子 小春日や力…

昨日の父の句稿の続き。 昔も今も同じような句を作るようで、 清水の石の畳に散る椿 白壁のひさしに落つる椎葉哉一方、 大掃除欄間の煤も払ひけり*欄間、平凡なり 夕焼けて鍬持つ母娘や麦青む*(1,2,3,4と番号を振って)道具立て多し 赤鳥居くぐり…

前略御免下さい先生には御忙しきところ御面倒ですがおひまなところにて見て下さいますようお願い申上げます兄の句も同封致しました故良ろしくお願い申上げますで始まる父の若きころの俳句の原稿用紙。 パラソルの明るき色や更衣*色は蛇足と添削 岩の陰咲く…

先日は愛知同人句会でした。 波引きし砂艶やかに立夏かな五人の方に採って頂きました。 波が引いた直後の濡れた砂を<艶やか>と表現したわけですが、言葉の運びには満足しておりません。 《引き波の》が良いのではという方もみえましたが、果たして<波引き…

今日は京都句会。近江商人発祥の地五個荘の吟行でした。 屋根裏に紅の塗椀春の闇 万里子 釣瓶井戸覆いて白き郁子の花 秋麦 春深し川戸の底に屋根瓦 徒歩 初夏や鯉くぐり来る入れ川戸 悦枝 薫風や織部滑車の濃きみどり 哲半 武具飾る江戸の畳の大座敷 佳子 開…

伊吹嶺4月号遠峰集より私の5句 まだ多き髪を手櫛の春一番 人待ちの睫毛に溶くる春の雪 「陸軍」とのみの石標春の土 竹騒に灯る離れ家雛の日 駘蕩やまなじり長き鉈仏