進と署名があるので父の次兄の句。
11年正月
元旦や何の気もなし神おがみ
*余りに平凡
時間待つ間や姦しき炭火かな
*何の時間を待つのか分からぬ
二度三度スキーヤーに押し出され
*何処から押し出されたのか分からぬ
と散々の批評だが、それよりも昭和11年といえば第二次上海事変の前年である。
のんびりとスキーを楽しむ人がいることに驚きを感じる。
ちなみに長兄の光秋(俳号一歩)は12年の上海で戦死。
私の兄の名は光明であるし、父も後年俳号を一歩としているから余程長兄には思い入れがあったのであろう。
こんな句も
琴坂の雪を踏み行く素足下駄
落柿舎の破れし傘や春浅し
枯れ枝をとほして見やる椿かな
一すじの藻をのこしひく春の波