死人焼く火加減上げて山桜  茨木和生

伊吹嶺4月号の風光集は久しぶりの6句。

 人日や見知らぬ人に名を呼ばれ
 「老衰」と死亡診断冬ともし
 冴ゆる夜の亡母の小さき足洗ふ
 火葬炉の鉄扉閉ぢたる寒さかな
 人ひとり焼く間の冬日濃かりけり
 手袋を脱いで真白き骨を選る

「人ひとり」の句は、タイトルの句の影響を受けている。