時はいま

山岡荘八徳川家康』より、愛宕山での連歌興行の場面。


光秀がまず発句を吐いた。
「時はいま、あめがしたしる五月かな」
つづいて行祐が、
「水かみまさる庭の夏山」とつけていった。
紹巴は何かハッとしたようだった。口の中でしきりに光秀の発句をつぶやき返している。
「時はいま・・・・土岐(明智氏)はいま、天が下しる五月かな・・・」
そう言えば光秀の様子が、いつもと違う感じであった。