天平の旅2日目続き
宿から新薬師寺にかけては閑静な築地の通りが続き、良き宿を探してくれたちゃびん氏には幾ら感謝してもしきれない。
9時の開門と同時に新薬師寺に入る。
鶯の声を聞きながら薬師如来十二神将に手を合わす。
頭上は天平の大梁である。


 「瑠璃光の浄土と思ふ初音かな」
 「うぐひすや築地駆け行く人力車」


仏像巡りは一日三ヶ所までと決めているので、大仏殿へ入るちゃびん氏を先に行かして大仏殿をバックに幼稚園の遠足風景の写真を撮る。
こういう所に目が行くとは年を取ったものである。
大仏殿の出口には「ここからは入れません」という看板がある。
そうかなと思いながらぶらぶら行くとなんなく中に入ることができる。
さすがに本殿まで入ると盧舎那仏の天罰が下るので、ちゃびん氏と合流して二月堂へと向かった。
法華堂(三月堂)。
ここは何度も来ているのに入るのは初めて。
薬師寺(13体)とほぼ同じ数の天平仏15体(2体は鎌倉、室町)と秘仏一体が並んでいる。
薬師寺に比べて大きい仏なので圧倒される。
うーむ、うーむと唸るばかり。
建物の裏側(北面)に丸い鏡が置いてある。
神社ではないのに面妖な、と思い推理をめぐらす。
秘仏執金剛神が北面に向けて安置されているので、我々の視線を跳ね返すためであろうか?
そして、二月堂。
去年ここでお松明を見たのかと感慨にふける。
興福寺国宝館の阿修羅像。
国立博物館へ行きたがるちゃびん氏を説き伏せて国宝館へ来たのは阿修羅像を是非とも見たかったため。
願わくばこういう場所ではなく、しかるべきお堂で拝観したいと切に思う。


  「あたたかし夕陽の満つる二月堂」