ひつぱれる糸まつすぐや甲虫 高野素十
私が始めて読んだ俳句入門書にあった句です。
高校の古文の授業は殆ど聞いていなく、じゃあその時間は何をしていたのかというとその記憶も定かではないという情けない話なので、「ひつぱれる」という活用が理解できませんでした。
これが平成18年の10月頃の話。
しばらくして読んだ仁平勝著「俳句をつくろう」で見つけた、
からつぽのにほへる桜餅の箱 長谷川櫂
「にほえる」が同じ活用だということにも気付きませんでした。
23年3月号の「伊吹嶺」に
亡き犬の鎖残れる冬日かな
という拙句がありますが、文語は入門書も読んだことはなく行き当たりばったりで覚えましたので果たしてこの時「残れる」の活用を理解していたのかどうか。
以下二つのサイトを参照
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/intro/dousikatuyou.html#a0103
http://kobun.weblio.jp/content/%E3%82%8A
この「る」は〔完了〕〔存続〕を示す助動詞「り」の連体形です。
《接続》は四段動詞の命令形とサ変動詞の未然形に付く。
上一段活用とか下一段活用の動詞には付かないのですが、「着れり」「受けり」という間違いをよく見かけます。
文法は覚えたもののその意味のニュアンスとなると微妙なものがあり、私の句は「残れる」ではなく「残りし」の方が正しいのではないかと思ったりするのであります。