団鬼六「最後の浅右衛門」
主人公は浅右衛門の弟子で浅右衛門の出番は殆ど無し。
後編が書かれる事も無く尻切れとんぼで終わっており、前書きで作者が言い訳しているように長編を書く能力が欠けているのかもかもしれない。
それは別として、紙芝居を見ているようで、結構面白いのである。
江戸末期の「囲内」と呼ばれる被差別地域を束ねる浅草弾左衛門や、フランス水兵と土佐藩兵との堺事件における土佐藩士の仰天する無念腹などをあっけからんと明るく書いているのだ。


「手を合わせお香の香よりぶどうの香」 徒歩