今月の風光集の5句です。
桜ちる男ばかりの美人の湯
校門に守衛佇む夕桜
白河の関はもうそこ木の芽風
金堂に百灯揺るる暮春かな
初夏や一緒に走る犬と馬
今月号には私を含めて7名の作品と小文が「特別作品」として掲載されました。
「松の芯」 徒歩
行く道は真つすぐならず初桜
笑ふ人泣きたる人に桜咲く
東風吹くや傷ひとつなきランドセル
玄関に乙女椿の診療所
春愁や落暉まぶしき屋敷町
仕舞湯の追焚き少し桜の夜
あたたかや妻に残れる国訛り
文弱と侮るなかれ松の芯
私の友人が時折自作の俳句を送ってくる。そのたびに厳しいコメントを添えて送り返すのだが、はたしてどこまで本気で俳句を作っているのか・・・。もっとも彼の方も、生活のかなりの部分を俳句に費やして喜々としている私が不思議でしょうがないらしい。
季語等の決まり事が面倒だという彼に私の自信作を見せると、下五の季語が唐突で分からないという。季語の前の切れが分かりづらいのであろう。彼に季語はスタンプのようなものだと言えば気が楽であるが、断じて季語はスタンプではないし、俳句であることのアリバイでもないのである。