読書

楡家の人びと2

『楡家の人びと」はまだ登場人物や病院の建物の紹介の段階ですが、皮肉たっぷりにからかっているような感じです。う~んやはり『どくとる マンボウ 航海記』の作者なんだなあと懐かしく思いました。 本が少し重いので寝転んで読むのが難儀です。

楡家の人びと

私の20才前後にせっせと読んでいた小説の中でついつい読みそびれてしまった作品に北杜夫の『楡家の人びと』があります。ネットの記事で三島由紀夫がこの作品を絶賛しているのを見つけたので「ふ~ん」という感じで読み始めました。作者の家族をモデルに、…

ドミニク・スミス『贋作』

直感で手にした初めての作家だが、あっと言う間に読んでしまつた。17世紀オランダの女性画家。その画家の絵を代々に受け継ぐ富豪の弁護士。ふとしたことでその絵の贋作を描いてしまった女性。この3人が時を越えて交錯する。団円のラストが心地よい。

永井荷風の『すみだ川』を読み始めました。 主人公の少年の母親が浄瑠璃の師匠なので、また谷崎の小説を読んでいるような気がして、切り替えが大変です。 風景の描写は季語が散りばめられていて、俳句を散文で読んでいるような感じです。

谷崎潤一郎の『蓼食う虫』を読んでいると、人形浄瑠璃や地歌のうんちくが事細かに書かれていてなかなか面白いのですが、ユーチューブで地歌を見てみると、最後までお付き合いするのはなかなか難しいのであります。

谷崎潤一郎の『吉野葛』を読んでいます。 巻末の水上滝太郎の<『吉野葛』を読みて感あり>に興味深いことが書かれています。人を感動させる力は、静かな言葉の中にもあるはずだ。的確なる表現が何よりも力強いのである。よき声は必ずしも大きくはない。本文…

文藝春秋刊「芥川賞全集」第五巻より松本清張『或る「小倉日記」伝』身体の不自由な男性が、軍医として小倉に赴任していた森鴎外の当時の足跡を辿るという物語。 丹念な調査の描写は、後の作品の犯罪者の捜査を思わせて興味深い。 伝便の鈴の音が俳句的な抒…

第一章 事件 被害者となる(と予想される)幸せそのものの歯科医師一家。 加害者となる(と予想される)二人の30台前半の男。 それぞれの現状が事細かに描写される。 トルーマン・カポーティの同名小説を意識しているのは明らかなので、凄惨な殺人が予想さ…

上巻をあと少し残すところまで読み進みました。 驚くような内容の小説ではないのですが、相変わらず饒舌なキングの筆力に引っ張られてしまいます。

久し振りに図書館へ行ってきました「シャイニング」の少年の30年後の「ドクター・スリープ」と迷ったのですがこちらにしました。 両方借りても良かったのですが4冊は重すぎます。

スティーヴン・キング「ダーク・タワー」 ついに読了。 えっ!えっ!えっ?というような宿敵、ウォルターの呆気ない死。これはキングの確信犯的な破調である。しかし、死に様はある意味、キングの面目躍如。 何でもありの展開だが、それなりの整合性は保って…

1日更新しないと重病説が流れるので更新である。 中日新聞連載「新三河物語」 早速、本田正信が嫌われている。 最初から、家風が悪いなどと決め付けて、正信の印象をリードしていくのは好かないが、まだ始まったばかりなので、作者が、正信をこれからどうい…

赤瀬川原平「老人力」を読んで。 私も一応文章を書いている訳で、結構これは勇気がいるのである。 長文を書いたはいいが下書きのままボツにしたことが何度もある。 たかが個人的なブログとはいえ悩むのである。 で、私もギリ飯ならぬギリ文になりそうになる(…

ダン・ブラウン「ダビンチ・コード」 上巻の中程から一気に読んで面白かったが、作家としてはまだ幼い印象である。 話題になったので余程衝撃的な内容かと思ったが、ごく普通のミステリー小説であった。 キリストが結婚していて子供もいたという説も(普通の…

贋作といえば、加堂秀三の小説にこんなのがあった。 田舎の蔵のある旧家を借り切って大量の骨とう品を持ち込み、金にこまった未亡人をそこにしつらえ、素人に売りつけるという寸法だ。 加堂秀三の独特の暗い空気が好きだったが、自殺してしまった。 まるで、…

団鬼六「最後の浅右衛門」 主人公は浅右衛門の弟子で浅右衛門の出番は殆ど無し。 後編が書かれる事も無く尻切れとんぼで終わっており、前書きで作者が言い訳しているように長編を書く能力が欠けているのかもかもしれない。 それは別として、紙芝居を見ている…

読書の傾向は、これはもう圧倒的に小説である。 ちょっと趣味が悪いが、妖しい秘密を覗くというような話が好きだ。 西村寿行など、ここ20年ほど読んでないが、殆どが駄作でも全盛時には骨のある作品が幾つかあり、「虎落笛」等が秀逸である。今、福留がホー…

コメントにも触れられていた日本刀。 団鬼六の「最後の浅右衛門」を読み始めた。 最後とタイトルにあるが、7代目山田浅右衛門吉利(8代目で消滅)の話である。 小嶋剛夕の漫画で有名な浅右衛門は4代目吉寛の事であろうか?自信なし。 「秋晴の秋という字…

藤沢周平「蝉しぐれ」 主人公の父親の切腹事件あたりから一気に読んでしまった。 主人公の鬱憤がよく伝わってきて一本筋の入った作品。 しかし、最後の章は余分ではないかと思う。 というか、もっとあっさりとしたエピローグで良かったのではないか。 「積年…

藤沢周平「海鳴り」読了。 目次にある破滅ではなく、何とか円満に?収まったので安心。 しかし世を捨て駆け落ちするのはいいが、結構な大金を持参しているのには「何かなあ」と首を傾げてしまった。 「あるものに追わるる如くゆく枯野」 晋雨堂圭一

36年振りの再読。 ジョン・ル・カレの出世作「寒い国から帰ってきたスパイ」 後味の悪い幕切れだが、主人公が女性を裏切らないところが救い。カレの主人公は女性を裏切らない。と言うより自分の信念を裏切らない。 私の尊敬しているブログ ↓ http://blog.c…

山田正紀 「ミステリー・オペラ」 愛知県出身1950年生まれ。私と同年生まれという事もあって読んでみた。 策を弄しすぎで、爽やかに誤魔化されたというよりは、詐欺にあっったような感じで少々不愉快な展開であった。 私は本格推理が苦手なのでこういう作…

藤沢周平「密謀」読了。 さほど面白くもなく淡々と読んだ。 隠密とその頭の拾い児(本田正信の子)の活躍がフィクションてんこ盛りで、直江兼続から見た上杉家の顛末はだいたい史実である(と思う)。 本能寺の変から関が原にかけての上杉家の動きを今まで知らな…

-[功名が辻]

藤沢周平の「密謀」を読み始めた。 家康を難詰した「直江状」で有名な直江兼続が主人公である。長久手の戦いの頃から始まるので、「功名が辻」を側面から見ることが出来て興味深いが、小説自体が面白いかどうかはまだ未知数だ。 功名が辻といえば唐沢寿明が…