伊吹嶺11月号30・40代作家特集より

 
  祇園会  東口哲半 
 
   初夏や愛宕山まで太鼓負ひ

   鉾粽掛け替へし手に笹匂ふ

   膝打つて祭太鼓の間を数ふ

   玄関に山車の一番籤を貼る

   鉾立や棟梁の声良く通る

   鉾立や揺るる足場を横歩き

   足場より踵はみ出づ雲の峰

   鉾粽帯に挿しゐるしやぎりかな

   宵祭更けて神楽の響く闇

   注連縄へ稚児の一太刀夏兆す

   巡行や鉾の屋根方逃げ場無き

   灼くる地へ体傾げて辻回し

   鉾過ぎて斎竹さやぐ大路かな

   旅人も祇園祭の手締かな

   夕日中神輿息づく如き揺れ


作者は全くの俳句初心者から伊吹嶺に入会して三年弱の人である。
この人とその作品を見ていると伊吹嶺に入会して良かったと実感する。