東風吹くや縁はたはたと遍路地図
産廃の土鉄木屑竹の秋
キャタピラの踏み跡深し春の土
春しぐれ小畔に烏ついばみて
鳥雲に堤の長き大師道
さへづりや丁石脇の一片食
飯粒の零るる先の犬ふぐり
開帳や厨子より伸ぶる縁紐
皺深きお庫裏の朱印うららけし
地蔵にも泉布欠かさず花菜風
丁石を辿る路地裏猫の恋
迷ひたる辻の仕舞屋花ゆすら
寄り道の夜哭き石とや雀の子
立ち並ぶ卍の幟桜東風
御朱印を背に認め花衣
花浴びて一本足せるお線香
人去つて人のまた来る桜かな
縁側にみな尻揃へあたたかし
永き日や梵字に焔立つ護摩木
弘法の一本道やかぎろへる