伊吹嶺3月号

 

風光集より私の5句

 幼子の深き眠りの聖夜かな
 年の瀬や町に書店のひとつ消え
 数へ日や若き御霊に「お〜いお茶
 忘年やダウンライトの二人席
 福引の当たりの鐘に恥じらへり


昨年から始まった栗田前主宰選の「寒月賞」。速報上位5編以外の高点12編の中に私の作品が入っていました。
ひとつのテーマで纏まった作品ではないし、弱い句も混じっていますが、ある程度は期待してましたのでほっとしました。

第一回「寒月賞」応募作品20句 徒歩
 青空へ汽笛高鳴る不死男の忌
 八月や昭和の厚き時刻表
 再婚の母の写真や終戦
 逆さまに切手貼りたり残暑なほ
 新涼や窓より子供たちの声
 食べ過ぎて嘔吐する母敬老日
 診察を待つ間のいびき秋の昼
 名月や坂の上なる純喫茶
 柔かくタオルを絞る居待かな
 秋果盛る白磁の皿をよく冷やし
 秋光や洗ひ終へたる匙二本
 三日間休む貼り紙小鳥来る
 重陽や職楽しんで五十年
 胸張つて大き息する秋気かな
 挨拶のメモ大き字や菊日和
 からくりの見得張る正午空高し
 耳朶をつまめば温し十三夜
 水槽の魚外見る夜長かな
 占卜は大器晩成いちやう散る
 やはらかき握手の別れ白秋忌