竜が丘俳人墓地

  春惜しむ国道傍の墓碑の句座  万里子

JR膳所駅から燕飛ぶ緩い下りの商店街を行くと義仲寺です。
門前は旧東海道、嘗ては目の前が琵琶湖の浜でした。
  湖風に芭蕉玉解く無名庵   佳子
  義仲寺の細く玉巻く芭蕉かな ゆうこ

「骸は木曽塚に送るべし」の遺言通り、この地に芭蕉は葬られました。


  行く春を近江の人と惜しみける 芭蕉
  おだまきや作務衣姿の近江人  徒歩


  賑やかに初夏の句会や無名庵 忽布

  逝く春の風吹き抜くる曲翠墓 秋麦
  風入れて青葉明りの翁堂   俊雄

  藤の風屋根まろやかな翁堂  範子
  藤棚をくぐりて風は木曾塚へ 英武


久し振りの河原地副主宰の講評です。

河原地副主宰選5句

  生地を干す窯場の庭に燕来る 英子
  森閑と日の照りゐたる蟻地獄 俊雄
  白衿に糊利かせたり聖五月  万里子
  新しき畳匂へり荷風の忌   徒歩
特 淡海のしぶきと見えて山桜  哲半